白いカラス(THE HUMAN STAIN

見ました。二コール・キッドマン、アンソニー・ホプキンス、エド・ハリス、ゲイリー・シニーズ、全員好きな俳優です。


アメリカにおける人種問題というは日本において想像するよりもはるかに大きい影を人の心の中に落としているのだという事を感じさせられた一本でした。黒人の子供として白い肌を持って生まれてくるという事があるのだということも知りませんでした。
またそれと同時に人の心の中にある誰にも言えない「心の傷」をどうやって癒していけば良いのだろうかというテーマもあるのだと思います。先に挙げた四人の俳優が演じる役柄も全員が何かの心の傷を持っていてそれに抗えないでいる苦しみを背負っています。
アンソニー・ホプキンス演じる大学教授は自分の人種を偽ってきた事を最後にキッドマンに打ち明けます。そしてその直後が映画の冒頭のシーンでもあるのですが、見直してみると二人はとても穏やかな表情をしています。その後の展開はあまりにもはかないのですが・・・。

僕が一番好きだったのはフォーニア(二コール・キッドマン)が自分が保護した泣けないカラスに保護センターに会いにいくシーンです。彼女はここでカラス相手に自分の自殺未遂の事を語ります。このシーンの気持ちがなんとなく解るのです。


相手の心の傷を受け止めてあげるというのは一体どういうことなのでしょう?それは相手の苦しみを理解すること・・・はたしてそうなのでしょうか?僕はこの映画を見て思うのですが相手を受け止めるという事は「理解する」という事ではなく、自分を「無」にする・・・自分を透明な水飴にして相手の全てをくるんであげ、苦しめてきた全てのものから少しでも遠ざけてあげる、そんなことなのではないかと冒頭のシーンとカラスとキッドマンが話すシーンは語っているように思いました。


登場シーンは少なかったけれどエド・ハリスも素晴らしかったの一言です。